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2015.12.28

POSH・細井さんに聞く……こんなに深い! 車検のイロハ

POSH・細井さんに聞く……こんなに深い! 車検のイロハ

 
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車検について
POSH・細井さんに疑問をぶつける!

 『自動車検査登録制度』という言葉をご存知だろうか。国土交通省が検査をし、自動車の所有権を公証するために登録をする制度。いわゆる車検である。
 バイクに乗っている時期が長くとも、車検のことをしっかり分かっている人は少ないだろう。資料で調べてみても小難しい言葉が並んで頭がパンクしてしまいそうになる……。そこで、今回はPOSHにお邪魔して、国内事業部・部長の細井さんに、車検についてのお話を伺った。

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POSH・細井さん

 まず車検ではどのような部分をチェックされるのだろうか?

「車検には新規と継続という2種類のカテゴリーがあります。新規はいわゆる新車、もしくは中古新規(1度廃車にしたバイクを再び新規に登録する)が対象になります。継続というのは既にナンバープレートが発行されている車輌が対象です。検査される項目としては、タイヤにちゃんと溝があるのか、ブレーキパッドがちゃんと残っているのか、ドラムのシューが残っているのか、ウインカー、ヘッドライト・テールランプはつくのか、つまり道路を走る上で問題ないのかをチェックします。当然、マフラーの音量であったり、排ガスの浄化装置がついているのかなども見られます」

 また、カスタムをした際に長さや幅などが車検証記載事項と違った場合、構造変更の申請が必要となる。ただし、変更の値が以下の範囲内であれば不要である。

【長さ】+30mm ~ -30mm
【幅】+20mm ~ -20mm
【高さ】+40mm ~ -40mm
【最低地上高】 90mm以上を確保
【重量】 +50kg ~ -50kg以内

 上記範囲を超える場合でも、手で簡単に脱着できるパーツなど、すぐに戻せるのであれば申請は不要。基本的にはボルト締めや溶接を伴うカスタムをする際に構造変更が必要となるのだ。
 このようにいろいろと気をつけなければならない部分はあるのだが、具体的にまずどこを気にするべきなのか……細井さんは、一番にマフラーの近接音量を挙げた。ちなみに、近接音量基準値は以下のとおり。

【小型二輪自動車の近接排気騒音法基準値】
1998年規制 99dB
2001年規制 94dB
2010年規制 94dB(加速走行騒音82dB)

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 上記でもわかるように、同じマフラーでも、車両の年式によっては車検に通るものと通らないものがあり、2010年式以降に至っては加速走行騒音にも目を向ける必要がある。さらに、00年式以降は排出ガス規制が適用されるため、規制対応マフラーでないと車検には通らないのだ。また、細井さんはJMCAプレートがついている合法マフラーであっても注意するポイントがあると言う。

「サイレンサーは経年劣化で音量が変わることもあります。他にも例えばキャブレターなどをイジったり、エンジンチューニングによって排気量を上げると音量が上がりますよね。合法マフラーであってもカスタムの度合いによっては『絶対大丈夫』とは言えないのです」

 マフラーは注意するべき点が多いが、カスタムする上で重要なポイントとなるパーツである。しっかりと要点を押さえたマフラー選びをしたい。
 
 

光量オーバーや色に注意! 灯火類について

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 スモークやクリアといったカラーリングが発売されているウインカー。じつはしっかりとした規則があるのをご存知だろうか?

「クリアやスモークレンズのウインカーが一般的に販売されていますが、点灯した時に、オレンジになっていなければならない規則があります。では、オレンジってどこからどこまでがオレンジ? と思うのですが、ちゃんとCIE色度図というカラーチャートで決められています。ちなみに当社では、民間機関で測ってもらった試験成績表を作っています。公的な力はないのだけど、証拠にはなりますからね。ちなみにテールランプも『赤』と定められています」

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こちらが試験成績表。POSHでは灯火類のパーツはすべて検査しているという

 また、ヘッドライトで落とし穴になるのが小径タイプ。光量不足が原因で車検が通らないことがあるのだ。もちろん、光軸がずれているのは論外。光軸のズレは外的な衝撃、サスペンション不良、タイヤの磨耗など様々な原因が考えられるので注意したい。さらに、最近導入されているLEDヘッドライトでも、車検を通らない場合があるそうだ。

「光は集中していないとしっかりと測れません。実はLEDの光は拡散しすぎて、誰が見ても明るいのだけど、計測した時に数値として出てこない……。今後LEDが普及していけば、陸運局側も改善してくれると思います」

 灯火類にも気をつけなければならないことがたくさんあった。自分の身を守ることはもちろん、安全に走行するために必要な部分なのでチェックは必須だ。
 
 

車検のここが落とし穴!

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 車検を通す前に、我々が見落としがちなことはないのか? 細井さんに尋ねると、ポイントを6つ教えてくれた。

・フロントフェンダーの装着義務はないが、リアフェンダーの装着は必要

・インジケーターランプは運転手が目視できる箇所に装着すること

・ディスクエンドを使っての側方排気マフラーはアウト

・二次エアシステムを搭載したモデル(01年式以降)は、エアインジェクション(AI)をカットしていたり、エアーフィルターなどで大気開放をしているとアウト

・安全に2人乗りをするためにシートの長さ(850mm以上)は決まっている。また、グラブバー、もしくはシートベルトがついていなければならない。もし、シートの長さが足りなかったりグラブバーなどがない場合は、乗車定員を1人に構造変更すればOK

・03年式以降のモデルはミラーの面積が決まっている

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形状が円形タイプの場合、直径94mm以上150mm未満、円形以外のタイプは、直径78mmの円を内包するサイズ
※POSH公式ウェブサイトより引用

 最後に、細井さんは車検さえ通ればいいわけではなく、バイクを安全に走らせるためにも毎日の確認を習慣づけることが重要なのだという。教習所で習った『車両運行前点検』である。

「普段の整備をしっかりやれればいいのですが、難しい方も多いと思います。やはり重要なのはタイヤの空気は減っていないか、ウインカーは点くかなど、確認を習慣づけることですね。チェーンが伸びたり汚れていれば、車検以前にそもそも危険ですからね。特にSRは振動が大きいバイクなので、あちらこちらが緩んだりします。できれば乗るたびに気にして欲しいです」

 カスタムバイクの車検は面倒なものと考えがちだが、各パーツメーカーから車検に適合したパーツが数多く販売されているし、構造変更をすれば合法となることが実はかなり多い。『カスタムをしたら車検に通らない』というのは、ひと昔前の話なのだ。
 SRはカスタムをする人によってさまざまな顔を見せてくれるバイクである。せっかくSRに乗っているのだから、カスタムをしないなんてもったいない! 是非この記事を読んで知識を蓄え、今後も素敵なバイクライフを楽しんでほしい。/浜瀬

 
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取材協力:株式会社ポッシュ 国内事業部・部長 細井啓介さん

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