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2020年02月28日

ESSAY…井上ボーリング 井上壯太郎/「バイクででかける理由」


オートバイで出かける時、僕の場合いつもなんとなく目的が自然と決まるんです。

どこへ行こうとか、何を食べに行こうとかそういうんじゃなくて、なんかツーリングのテーマみたいなものが不思議とでかける日になって思い浮かぶんです。そしてまたその目的がどういうわけか達成できることが多いんです。まあ、達成っていったって大したことではないんですけどね。

 


毎年一番寒い頃にバイクででかけます。それはつまり一番寒い時だって、自分はバイクで出かけることができるんだ、っていう自分に対する証明みたいなことです。冬の一番寒い時だってバイクに乗れたんだから、今年一年もいつだって自分はバイクには乗れるぞ!っていうことを自分に対して証明しておきたいんですね。

というわけで、今年も2月になって2回バイクで出かけてきました。ツーリングというほど本格的なものではなくて、ちょっとした「近乗り」です。

イーハトーブで出かけた一度目のテーマは「淋しがりたがり」です。なんだそりゃ。

今僕毎日がすごく充実していて、日常で淋しさを感じることなんてないんです。それはそれで結構なことのようにも思いますが、でもね、ヒトって本来は孤独なものだろうと僕は思っているんです。

日々忙しく充実した時間を過ごしていれば、淋しさなんて感じる必要はないのかもしれません。でも、自分以外の人とか周りの環境に対応するばかりで時間が過ぎていくのって、ちょっとどうかな、と思うんです。自分をじっくりと見つめ直す時間って大事な気がします。

オートバイで出かけることの一番いいところは、なんの無理もなく一人きりになれることじゃないかと思います。出かけていってバイクが壊れて立ち往生しようと、山の中でこけて途方にくれようと、自分自身で乗り切るよりありませんよね。そんな意味も含めてすごく孤立できる、というとへんですが、誰かに頼らずに自分だけで時間を過ごすって言うことにすごく意味があるように思うんです。

ふだん仕事の上や家庭生活でも仲間やパートナーと助け合って生きているっていうことはすごく恵まれたことではあるんですけど、ずーっとそうしてるとそれが当たり前のように思ってしまう。そこに危険があるのではないでしょうか。

たまたまイーハトーブで出かけたのは、バレンタインデーの翌日だったんですけど、こんなじじいに甘いものをくれる人が身の回りに何人かでもいてくれるって、本当にありがたいことだと思いました。日常から離れてみると特にそんな思いが強くなります。

でもまあ、実を言うとオートバイで出かけたくなる理由はそんな難しいことを考えてのことではなくて、あのひとりででかけた時の「あ~遠くまできちゃったなあ。」っていうような、なんとも所在ないというか、寄る辺ないというか、あの寂しい感覚が恋しくなってでかける、っていうのが正直なところです。

この日は帰りがけの夕暮れに、自分が生まれた新宿の街を食事をするでも買い物をするでもなく、ただただ2時間ほど彷徨い歩いてもみました。夕暮れの人にあふれた新宿は、そんなに多くの人がいるのに誰ひとり自分の知り合いではないってことで、かえって寂寥感にあふれていました。これがこの日のテーマ「寂しがりたがり」の締めくくりと言うわけです。

僕にはそれが、とても心地よかったんです。

「あ~!淋しかった!!」 ははは。(^o^)

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