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特集
2019.06.11

ESSAY…井上ボーリング 井上壯太郎/「遠くまで行っちゃダメだよ。(でも、僕は遠くへ行きたいんだ。)」

ESSAY…井上ボーリング 井上壯太郎/「遠くまで行っちゃダメだよ。(でも、僕は遠くへ行きたいんだ。)」

6月になり梅雨に入りましたね。「その前に!」と富士山の麓を走り回ってきました。初夏の富士の裾野の森は美しかったですよ。

ふとSRで遠出したくなって、「今回はどこへ行こう。」と考えたんですが、先日Legend of Classicのレースの応援で富士スピードウェイに行った時に見た富士を思い出しました。

「富士山をみながらSRを走らせたら気持ちがいいだろうなあ。」

そして富士の周囲で思い出したのが、いつもトライアルの練習などで訪れているライダーズトレッキングランド「イーハトーブの森」。

https://asagiri-ihatove.jp

「イーハトーブの森」では、トライアルの練習をしたり、iB Ladyとトライアル大会のお手伝いをしたりしてきました。ほんとうに気持ちのいい場所です。ただ、今回はたまたま定休日だったのでSRで中を走り回ることはできませんでした。いつかまたやってみたいと思いますが、ここでは今までに撮った「イーハトーブの森」の写真をご紹介します。

この「イーハトーブの森」へ今回はいつものようにトライアルバイクをトランスポーターに載せていくのではなく、SRで高速を走って行ったら愉しいんじゃないかな!と思い立ったんです。

それというのもいつもクルマを運転してイーハトーブの森に行くまでの高速を降りてからの道がものすごく綺麗で気持ちよくて、「バイクで走ったら最高だろうな!」といつも思っていたからなんです。適度なアップダウンのあるワインディングロードが原生林の中に続いています。

道端にSRを停めてみました。SRのエンジンが止まると、何も音がしません。静かすぎて「シーン」って耳鳴りがします。

ほんの数歩ですが、森の中に入ってみます。誰も足を踏み入れたことのない柔らかな土。苔が岩や木々の幹をも覆っていて、緑に光っています。誰も歩いたことのない原生林。

ここは、もう少しだけ歩いて入っても構わないものなんでしょうか。もちろん何も柵やロープなどで立ち入りが制限されている様子はありません。でもだからと言ってここへトライアルバイクで乗り込んでもいいとは思えませんが、、、、。少しくらい歩いて入っても、いいですよね。きっと?

少し不安だけど、でもワクワクしている。この原始の森にはいったい何が隠れているんだろう。

うまく言葉になりませんが、僕は実はこんな気持ちになるのがとても好きなんです。自分の年齢も立場もなにも関係なく、なにか新しい好奇心のようなものに自分が包まれている新鮮な感じに心が躍ります。

僕は子供の時、自転車に乗るのが大好きでした。自転車に乗りさえすれば、どんなに遠いところへでも一人で行けるような気がしていました。でも、親には「あまり遠くまで行っちゃダメだよ」と言われていました。新宿で生まれた僕は、最初は家の前の明治通りの歩道を大久保一丁目から次の新田裏の信号までの間だけ自転車に乗っていいと言われていたものです。だんだんにその境界は広くなっていき、よく三光町の伊勢丹まで自転車で行きましたし、戸山ハイツからそのうちには高田馬場や原宿あたりまで、それから新宿御苑や神宮外苑まで。そして中学生になると羽田空港や横田基地までも自転車でいくようになりました。

でも、ずいぶん長い間、あまり遠くまで行ってはいけないことになってたと思います。

みなさんもそんな経験があるんじゃないでしょうか。

つまり自転車は、自分に与えられた世界の果てを超え出ていくための自分だけの道具、という役割をず~っと担っていたのだと思います。自分の世界を広げてくれる乗り物。

「怒られちゃうのかな?」とドキドキしながらも、それに乗って勇躍世界を切り開きにでかけるときの抑えられないワクワクする気持ち! 初めて来た公園。違う学校の子供たち。踏切。急な登り坂、水飲み場。初めて会った女の子。大きな病院。蛇がいる噂の池。知らない場所。見たことのない世界。

そして、歳をとったいまも僕はオートバイに乗ると、それとまったく同じ気持ちになるんです。

今では飛行機で外国に旅行に行ったこともあるし、クルマでどこにでもいくことはできます。

でも、この鳴沢村の森の中に一歩を踏み込んだことはまだ一度もありません。

そういうことは時を経ても変わらないんです。

もう少し行ってもいいんだろうか。誰にも迷惑はかけないよな。ほんの数歩じゃ遭難したりしはしないし。

誰も周りにはいないけど。僕ひとりだけど。

オートバイは、中でもSRは、こんな世界に今も僕を連れ出してくれます。

一人になれるから。気軽に停まれるから。社会的な立場(ステイタス)から離れた乗り物だから。少し危ないから。

どうしてなのか、よくはわかりません。理由はなんでもいいんです。とにかくオートバイは僕を時間からも社会からも地理的制約からも解き放って、他のどんな最新のIT機器や乗り物よりも上手に、とても遠いあの日の心に僕を連れて行ってくれるんです。

「もう少しだけ、もうちょっとだけ、行ってもいいのかなあ。」

SRのエンジンにはICBM® がほんとうにお勧めです。
当エッセイの15で詳しくご紹介しています。こちらもぜひ読んでみてください。
https://mototimes-web.com/ib15.html

「エンジンで世界を笑顔に!」(株)井上ボーリング

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[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。

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協力:(株)井上ボーリング

著者プロフィール

(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!

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