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2017年12月16日

ESSAY…井上ボーリング 井上壯太郎/「メッキスリーブの長所を再確認」


あらためてSR-ICBM® についてご紹介します。特に鋳鉄スリーブとの比較で考えてみましょう。バイクのニューモデルのほとんどがメッキスリーブで発売されるいま、とりたててメッキスリーブの長所について喧伝されることはありませんが、鋳鉄と比べるとほんとうに理想のシリンダーと言っていいのが、メッキスリーブのシリンダーなんです。

 

シリンダーの理想を実現したアルミメッキスリーブICBM®

とうとう生産が終了したSRですが、SRはその誕生から終焉までついに純正ではシリンダーがメッキ化されることはありませんでした。開発当初からのアルミバレルの中に鋳鉄スリーブが入った構造は変わることなく最後まで踏襲されていました。

SRが生まれた1978年には市販バイクでアルミメッキシリンダーを持っているものは、まだ存在しなかったと思います。レーサーですらメッキ化されたのは80年代に入ってからでした。特に高性能を狙って作られたわけではないSRにとっては、当時、メッキのシリンダーは必要がないと判断されたとしても頷けることです。

さらに開発当時、まさかSRがこれほどのロングセラーとなり、まして生産終了となった今でも高い人気を保って、これから先もさらに何十年もの耐久性を期待されるというようなことは、当時の開発陣には思いもよらないことであったにちがいありません。

ですが、事実としてSRは時代を超えて今でも高い人気を保っていますし、新しく再度環境に適応したSRが登場するのを待ち望む声もしきりです。

さて、当時の開発陣とはちがって、そのような状況をよく理解している現代の我々が、長く愛されたSRに手を入れるお手伝いをするときに、どのような考えで仕事に臨むべきなのでしょうか。当時のままの鋳鉄スリーブをそのままボーリングしてシリンダー再生するだけで、果たしていいのでしょうか。

 

数々の特長を持つアルミメッキスリーブ

アルミメッキがバイクに採用されたのは、まずはレーサーからでした。そして、それに続いたのは2ストのレーサーレプリカのバイクでした。性能的な要求が高く、使用条件の厳しいモデルからまずは採用されていきました。そして現代では、よほどコスト面での要求が厳しいモデルでない限りは、多くのスポーツモデル……もちろん4ストロークのモデルでもアルミメッキシリンダーでないものを見つける方が難しくらいにアルミメッキシリンダーは普及しています。

それは鋳鉄スリーブでは実現できない数々の優れた点が、アルミメッキシリンダーにはあるからです。

 

圧倒的な耐摩耗性

iBがSR乗りの皆さんにまず強調したいのは、その圧倒的な耐久性です。摩耗しないと言っていいほどの硬さを誇るのが、メッキシリンダーです。鋳鉄スリーブの硬度は高いものでヴィッカース硬度150くらいです。それに対しアルミメッキスリーブはアルミの地の部分で450くらい。すでに3倍以上の硬度です。さらにメッキに混入させているシリコン部分はヴィッカース硬度で2,000というケタ違いの硬さを誇っています。

先日、ヤマハ・セローで6万キロを走ったメッキシリンダーを測定する機会がありましたが、その摩耗は0.005mm(5ミクロン)というほとんど測定誤差程度の摩耗しか見地することができませんでした。ほんとうに硬くて減らないのが、メッキシリンダーなんです。

ネットなどでは鋳鉄スリーブの優れた点を強調し、鋳鉄スリーブの摩耗度合いは硬度だけでは決まらない、と謳っているところもあります。ですが、やはり硬い方が減らないんです。鋳鉄スリーブの摩耗を減らすためにiBでも採用しているターカロイなどの耐摩耗鋳鉄ではミクロな組成に於いて黒鉛を極めて適切に分布させることによって、「自己潤滑機能」を実現させ、鋳鉄の摩耗寿命をかなり伸ばすことができました。これはこれで40年前には素晴らしい技術でしたが、それは鋳鉄ではスリーブの硬度を思うように上げることができなかった時代の話です。ですから、やはりこれは過去の技術と言っていいと思います。スリーブをアルミメッキ化することによって、比較にならない耐久性を得ることができるように、既になっているのですから。

それなのに多くの業者がメッキを採用しない理由はなんでしょうか。それは彼らにはメッキ後のホーニング加工ができないから……これに尽きます。iB以外にメッキの手配ができ、メッキ後のホーニングを自社でできる加工業者というのは、事実上ほぼ存在しないのです。

 

軽量

耐摩耗性だけが問題なら、「そこまで長持ちしなくてもいい」という考えもできないことはないと思います。でも、アルミメッキスリーブの利点は耐摩耗性だけにとどまりません。まずなんといっても軽いんです。

ご存知のようにアルミは鋳鉄と比べると重さが1/3。スリーブ単体を持って比べるとすぐにわかりますが、重さが全然違います。シリンダーはエンジンの上部についていますから、この重量が軽くなることは、低重心化につながり運動性の向上に直結しています。バイクにとって軽いということほど大事なことはないのではないでしょうか。

 

低フリクション

プラトーホーニング仕上げされたメッキ表面は滑りがよく、フリクションを低減することができます。もちろん純正などのクロームメッキピストンリングとの相性も抜群です。エンジンの中で最大のフリクションがピストンリングとシリンダーの摺動です。この抵抗だけで全体の1/3を占めると言われています。その部分のフリクションを低減できるんです。

 

焼きつきにくい

「低フリクション」とも関係がありますが、2ストロークなどでよく経験される「焼きつき」にも強く、焼きつきにくい上に焼き付いた場合でもピストンのアルミが溶けてついてしまっただけで、極く軽くホーニングをするだけでアルミの下から無傷のメッキ面が出てくることも珍しくありません。

 

放熱性

鋳鉄は熱伝導が悪いですが、アルミは熱伝導に優れています。特に空冷エンジンの場合には放熱性がよいということは優れた特長になります。昔はよくフィンにアルミの洗濯バサミをつけたものですが、あれもアルミの放熱性のよさを狙ったものでした。

SRでは実際に経験済みですが、アルミメッキスリーブ=ICBM® にすると、フィンがそれまでよりやや熱く感じられ、その分エンジンオイルの温度は明らかに下がります。これがアルミの放熱性の良さです。エンジンが過熱せずにすむことには大きなメリットがあることは、言うまでもありません。

 

膨張率の均一化

これはマニアックな話かもしれませんが、鋳鉄スリーブをアルミメッキ=ICBM® 化することで、シリンダーはすべてがアルミでできていることになります。つまり、シリンダーを摺動する相手のピストンもアルミでできているということ。鋳鉄スリーブの場合はアルミほど膨張しません。エンジンが回り熱がかかると、膨張しないスリーブの中でアルミのピストンが膨張していくわけですからその分クリアランスを大きくとらないと焼き付いてしまうことは容易に想像できると思います。

ところが、シリンダーが全てアルミとなると、ピストンもシリンダーも同様に膨張をすることになり、クリアランスの変化が小さくなるのです。このためクリアランスを小さくとることができるようになります。エンジンが熱いときにも冷えているときにも同じような状態で稼働することができるようになるのです。

 

プラトーホーニングが不可欠

さて、iBは鋳鉄スリーブをボーリングしてきた昔も今も「慣らしがいらない」プラトーホーニングを得意としてきました。これは簡単に言うと、慣らしが終わった状態を機械的に作り上げてしまうというミクロン台の超絶技巧です。これをきちんとできる内燃機屋さんというのはあまりありません。ましてメッキ後にできるところはまずありません。試しに面粗度計での測定結果を尋ねてみてください。実は面粗度計自体持っていないところが大半なんです。単に面粗度を測れるだけではプラトーホーニングはできません。さらに深いオイル溝と平滑な摺動面とのバランスを統計曲線を使って分析することまでできなくては、プラトーホーニングはできないのです。

ところがメッキ後の仕上げにはこのプラトーホーニングが不可欠です。なぜかというと先述のように、アルミメッキの表面はたいへんに硬く、鋳鉄のように普通のホーニングでギザギザに仕上げたものを後からエンジンを回してリングでこすることで尖った部分を減らして平らに慣らすなどということはできないんです。もしメッキシリンダーを普通のホーニングで仕上げてしまったら、ピストンやリングがすぐに傷んでだめになってしまいます。

ということで、硬度が高いメッキシリンダーにはダイヤモンド砥石で複数回の加工を必要とするプラトーホーニングがどうしても必要なのです。

iBは4ストローク用のICBM® を開発するにあたって、第一の機種としてSRを選びました。これほど長く愛され、これからも永く乗られるバイクは他にないだろうと思ったからです。その経緯についてはiBの広報誌「SHERPA Vol.4 SR特集号」に詳しくご紹介していますので、ぜひご参照ください。

http://www.ibg.co.jp/pdf/SHERPA_VOL4SR.pdf

このように数々の美点を持つICBM® はYAMAHA SRにも最適な技術です。iBが12年に渡って開発した「夢のシリンダー」を、ぜひSRを愛するみなさんにもご採用いただきたいと、心より願っています。

今、iBでは特にこのSR-ICBM® とZ1/Z2などKAWASAKI Z系をメインに年末スーパービッグセールを開催中です。なんとSR-ICBM® を3割引で受注生産するという特別なキャンペーンになっておりますので、ぜひご依頼いただけますようよろしくお願い致します。

https://auctions.yahoo.co.jp/seller/inoueboring

「エンジンで世界を笑顔に!」(株)井上ボーリング

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ICBM®の技術はシリンダーに鋳鉄スリーブとは比較にならないほどの革命的な超長寿命を与えて、そのことで旧いエンジンに長く大事に乗り続けていただきたい・旧いバイクを大事にしていただきたい、ということなんです。iBが掲げている基本理念にしっかりと沿った新技術・新製品になっています。現在はあらゆるエンジンに対応できるようになりましたが、特にSR用には完成品キットも用意してご用命をお待ちしています。

SR-ICBM®のシリンダーはShop SR Timesでもお買い上げいただけますので、ぜひご検討いただければと思います。

iBの得意技術ICBM®が登録商標になりました!
[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。

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協力:(株)井上ボーリング

 


著者プロフィール
inouesotaro
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!

 
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井上ボーリング自社でアルミスリーブを製作して、これにメッキ加工を施したスペシャルなシリンダーと、ヤマハ純正400㏄用φ87ピストンのセット。

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