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2017年11月01日

ESSAY…井上ボーリング 井上壯太郎/「SDR Times (?)」


YAMAHA SDR200を手に入れました。昔から気になっていたバイクなんです。SRとは似ている点もありますね。ともに単気筒でオフロードのオリジナル車から派生したロードバイクです。興味をお持ちのYAMAHAファンのかたやSR乗りのかたも多いのではないでしょうか。

 

 

「これぞ理想のライトウェイトスポーツ」

ともに単気筒のバイクとして共通点もあるとはいえ、実はSRとSDRでは大きな違いがありますね。それはSRが多くの人に愛されて世界にも稀な長寿命の継続生産モデルになったのに対して、SDRの方は人気が出ず、たった2年ほどしか生産されなかった、という点です。なんという対照的な結果でしょうか。

おそらくSDRがSRと違って「2ストローク」のモデルであったことが大きな影響を与えているのでしょう。当時人々が2ストロークに求めていたイメージは、まさにレースにおけるような絶対的な速さにあったことは間違いありません。SDRは1987年というレーサーレプリカ全盛の時代に発売されました。20世紀が終盤に差し掛かっても、人々はまだ絶対的な「速さ」に魅了されていたんです。愚かにも峠で飛ばすライダーが溢れ、事故も多発していました。当時の人々にはSDRの意味はまだ理解できなかったのでしょう。これはとても残念なことでした。

しかし21世紀のいま、SDRの車体デザインやコンセプトを高く評価する人が現れているということです。それも当然のことだと思います。「大競争の20世紀」を経て訪れた「協調の21世紀」である現代においては、すでに趣味で乗るバイク(や乗り物全般)の絶対的な速さなどには意味がない、ということは僕が繰り返しお伝えしていることですし、そのような理解をできる方もだんだん増えてきていると思います。そういう時代の目で見れば、SDRのコンセプトが非常に優れたものであることがわかります。SDRの出現はいささか「早すぎた」と言えるのでしょう。

 

 

どんなバイクなのか

実際に跨ってみると、SDRは小さくて軽くて細くてキビキビしていて最高に愉しいバイクです。僕はとにかく乗り物は小さくて軽いのが好きなんですが、それにしてもこの細さ! これも単気筒であるおかげですが、ほんとうにスリムで視覚的にも軽さを強烈に訴えてきます。そしてキックの軽いこと。SRとは比べ物にならないくらい簡単にエンジンがかかります。

そしてエンジンがかかると、とたんにビーン! ビーン! と軽快に回り、スロットルのわずかな捻りに敏感に反応して、走りたくてしかたがないといった2ストらしい回転感覚を、走る前からエンジンが訴えかけてきます。

少し回転をあげてクラッチを繋ぐといきなり鋭い加速が始まります。どこまでも回転が伸びていくわけではありませんが、割と低い回転からトルクがあり、トルクの谷間もないので意外に広いトルクバンドからの胸のすくような加速を味わわせてくれます。そのまま回転を落とさずにシフトアップしていくのは本当に愉しい経験です。どこもかしこも「軽い!」

一方、これが例えばNSRやTZR、またはRZでもそうだと思いますが、僕が以前RZ250Rに乗って感じたことがあります。このようなレーサーレプリカ系のバイクが本領を発揮するほどの加速やコーナリングを楽しもうとすると、これはとんでもなく危険で法外な速度に達してしまうという、抜き差しならない問題があります。

エンジンは「もっともっと速く走ろう!」と訴えかけてくるのですが、一方でスピードメータの中の警告灯は2速で加速を終える頃には点灯して、「そんなに飛ばしちゃダメだよ!」と言ってもくるんです。この矛盾した態度はいったいどうしたものでしょうか。

ところがこれがSDRだとそういう問題が、いっさいないとまでは言いませんが、かなり現実的にその加速感を愉しむことができると、僕は思います。もちろん全力を絞り出してしまえば、違法な走行になることは間違いありませんが、大事なことは、SDRはそこまでライダーに「速さだけを求めては来ない」んです。それはSDRというバイクの成り立ちそのもの、エンジンの排気量やシンプルな構造、そして車体サイズなど、全体として絶対的な速さを最大化することを追求して作られていないバイクであることが明らかだからです。

では、なにを訴えてくるのか。それは小さくて軽いバイクを操って走ることの気持ち良さです。これに尽きると思います。つまり乗って「愉しく感じられる」ことが一番大事なのであって、他のバイクと競って、どちらがわずかでも上回っているのか、などというレーサーレプリカ的な価値観からは対極にあるのが、このSDRの魅力なのではないでしょうか。

ちなみに僕が「SDRを手に入れた」と言うと、「当時、峠の下りでは最速でしたよ」などど言ってくる方がいまだにいます。きっと褒めてくれているつもりなのでしょうけれども、そんな速さがSDRの価値なのではありません。「わかってないなあ……」と、僕は思ってしまいます。

 

 

では、優れた乗り物とは?

人間はスピードの絶対値を感じ取ることができません。人間はスピードメーターを見なければ速度はあまりよくわからないんです。サーキットですら、前の周と今の周で自分はどちらが速く走れたのか……ストップウォッチで正確に測ってもらわなければわかりません。スピードというのは、そういうものなんです。ちなみにパソコンの前に座って原稿を書いているこの僕は、今この瞬間もジェット機と同じくらいのすごい速度で移動をしています。地球が自転と公転をしているからです。速度というのは相対的なもので、人間はそれを感覚的に掴むことはできないのです。なのに、バイクや乗り物に関わる人が、速度というものが絶対的な価値ででもあるかのような固定観念を拭い去ることができないでいることが、乗り物をつまらなくしている、と僕は思っています。

それでは、人間の感性に訴える優れた乗り物とはどういうものなのでしょうか。

4輪車ですが、僕はHONDA・ビートという軽自動車を持っています。当時の軽スポーツカーの中でもビートはターボも装備していなくて遅い方でした。ですが、ぼくはこれは大傑作だと思ってほんとうに気に入って乗っています。開発責任者の方がスポーツカーについて「その根源的な魅力とはなにか」を徹底的に熟慮した上で「60km/hで走っていて愉しい乗り物」としてビートを作り上げたのだそうです。

低い着座位置、エンジンの音。高回転型のエンジンと比較的頻繁に必要なシフト操作。ステアリング操作に対する応答の良さ。屋根を開けて走るときの風の音と頭上に何もない爽快感。そういったことが相まって、操縦していて最高に愉しいクルマに仕上がっています。

僕はそういう意味でSDRはYAMAHAが作った2輪のビートなのではないかとさえ思っています。いや、違うな。作られた順から言えば、ビートが4輪版のSDRなのだという方が正しいですね。
とにかく、許されないほどぶっ飛ばさなくても、SDRは十分に走る楽しさを味あわせてくれるんです。

どんなに絶対値が速いバイクに乗ってもフルフェイスのヘルメットをかぶり、フェアリングをつけて風を避け、高速道路を走ることで相対的に速度を感じにくくしながら絶対値としての速度をあげることに何の意味があるんでしょうか。感じ取ることができないメーター上の速さにいったい何を求めるのでしょう。

SDRやビートは絶対的には速くなくても、キビキビと走り、走る楽しさをライダーに感じさせてくれるんです。そのこと以上に大事なことは何ひとつないと僕は考えています。大事なのは僕らの心がもう一度若やいで踊り始める! そのことだけでしょう?

僕らは「仕事に遅刻しそうだから、辛いけどバイクに乗るしかない」のではない!  そんな実用のためではなくて、「乗ることを愉しむために喜んでバイクに乗っている」んですよ! そうでしょ?

あ〜〜、またまた愉しいバイクを手に入れてしまいました。バイクってそれぞれ個性があって、なんて愉しいんでしょう!

SRの心落ち着く走りを愉しみながら長い距離をともにするのも素敵ですし、一方でSDRで短い時間でも心沸き立つような刺激的な時間を過ごすのも捨て難い魅力があります。バイクって最高!!

 

 
「エンジンで世界を笑顔に!」(株)井上ボーリング

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協力:(株)井上ボーリング

 


著者プロフィール
inouesotaro
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!

 
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