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2016年12月20日

ESSAY…井上ボーリング 井上壯太郎/「ICBM®にできること」


ICBM®はiBが誇るシリンダー内径仕上げの最終兵器です。
そのICBM®に何ができるのか。H1/H2-ICBM®を例に、
その可能性について考察してみたいと思います。


photo by Misao Naitoh(ORANGE WORKS)

 
KAWASAKI H1/H2とは

1960年代後半、北米市場でその圧倒的な加速力でKAWASAKIの「ザッパー」イメージを定着させ、当時世界最速を誇ったのがマッハシリーズでした。なかでもH1から始まり、CB750FOURに対抗して世界最速を誇示してみせたH2は、今に至るKAWASKIの硬派なイメージを確立したバイクでした。いま話題の現行H2Rも、この初代のイメージを踏襲していることは言うまでもありません。

iBではこのH1/H2のためにICBM®シリンダーを開発し、このところ高い評価をいただくようになっています。今回はSRからちょっと話が逸れますが、このH1/H2のシリンダーに対して、iBがどんな提案をしているのかを知っていただきたいと思います。

 

H1/H2の弱点

この写真はお客様からご依頼のH1シリンダーをご希望のピストンサイズまでボーリングしたところ、IN/EXの巨大なポートの上下が異常磨耗を起こしていて、削りきれないという状態です。

これはINTAKEポートの下側の写真ですが、ピストンスカートがポートに飛び込むように上下するため、どうしてもポートの上下に強くスカートがあたって大きく磨耗してしまうことになります。

この場合、もう1サイズ大きなピストンを用意して、さらにボーリングをすることになってしまいます。しかもせっかくきちっとクリアランスを出してボーリング・ホーニングしても、この磨耗がかなり早く発生してしまうと伺っています。

EXポートもINポートも大きい方が一度にたくさんの混合気を吸い込み、また吐き出すことができます。このことによって、間違いなく2ストエンジンの出力は向上します。

でも、むやみにポートの穴を大きくすれば、リングやピストンスカートがポートに飛び込んでしまう。H1/H2が抱えているのも、まさにこの問題なのです。

巨大なIN/EXポートを持つために大きなパワーが得られる反面、異常磨耗が起きてしまうというのが、H1/H2などマッハに共通の特性ということで、オーナーのみなさまはスラップ音やリング音はやむを得ないものと割り切って乗ってらっしゃるということですね。

このマッハの残念な弱点を根本的に解決しようというのが、iBのICBM®技術を利用したH1/H2-ICBM®シリンダーです。

 

ポートに柱をたてる対策

iBは古くからHONDAさんから依頼を受けて、HONDAの2ストロークシリンダーの生産を請け負ってきました。その時に経験したのがポートの中央に柱がついた形状のポートです。特に排気ポートの場合はそこに「柱の逃がし」という特殊な加工技術を使って、熱膨張による焼きつきを回避する必要があります。今回はこの点は詳しくは触れませんが、2ストシリンダー加工の上ではたいへんに重要な技術です。この技術をH1/H2シリンダーにも適用して、柱つきのポートを持ったシリンダーを作り、さらにその内径仕上げをICBM®による超高硬度のメッキ仕上げをすることにより、すぐに異常磨耗を起こしてしまうH1/H2において、リング音やスラップ音と縁のない、静かでスムーズに回り耐久性に非常に優れたシリンダーを作ろう、というのがH1/H2-ICBM®の狙いです。

それは単に機能として耐久性に優れるということだけではなく、耐久性に難があると広く知られているH1/H2の問題点を解消してみせることにより、2ストロークのバイク全体に対する「耐久性がない」という評価をも覆してみたい。そして併せて、「世界最速を誇ったバイクのための世界最高のシリンダーをこの手て作ってみたい」というiBの夢をも託す挑戦になりました。

 

iBはバイクの世界で名だたる方にご協力をいただいています。まずはオーヴァーレーシングの佐藤健正会長には、すでにH2にICBM®シリンダーをご採用いただき、Legend of Classicというヒストリックレースで優勝してみせてくださいました。

モト・メンテナンス誌の田口勝己編集長にはH1にICBM® をご採用いただき、イベントなどでオーナーさん達に実際にエンジンを始動してスラップ音やリング音がない、驚くほど静かなエンジンを公開していただいたこともあります。

このあと「2ストマガジン」の後藤編集長と一緒にH2-ICBM® のシリンダーは来春のTOTに向けてEXHAUSTポートの形状に工夫を重ねていきます。高出力と高耐久性を兼ね備えたシリンダーをぜひ完成させたいものだと考えています。

 

現在はINTAKEポートに柱付きで納入を開始しており、さらにiB得意のEXHAUSTポートに柱の逃がし付きの開発を始めたところです。これが完成すれば究極のH1/H2シリンダーができると考えています。

H1/H2というのは当時世界最速を誇る市販車でした。日本が第二時大戦後、世界にもういちど経済で進出していくときの尖兵の役割を果たしたのが、車や電化製品に先立って世界を驚かせた日本製モーターサイクルであったと思います。

そのなかでもこのマッハが世界に与えた衝撃というのは、けして小さいものではなかったはずです。その世界最高だったバイクの弱点をカバーできる、ある意味世界最高のシリンダーをいま、僕たちは造ろうとしているのだと思います。

大げさでしょうか。いえ、僕はそうは思いません。

マッハを愛するオーナーのみなさまと一緒に、これからiBはぜひ世界最高のシリンダー作りに挑戦したいと考えているんです!

そして、マッハのオーナーのすべてのみなさんに笑顔になっていただきたいと思います。

「エンジンで世界を笑顔に!」(株)井上ボーリング

↓↓H1/H2のCM動画はこちらです↓↓
https://vimeo.com/196226112

 

ICBM®の技術はシリンダーに鋳鉄スリーブとは比較にならないほどの革命的な超長寿命を与えて、そのことで旧いエンジンに長く大事に乗り続けていただきたい・旧いバイクを大事にしていただきたい、ということ。H1/H2でもSRでも、それは同じことです。iBが掲げている基本理念にしっかりと沿った新技術・新製品になっています。現在はあらゆるエンジンに対応できるようになりましたが、特にSR用には完成品キットも用意して、ご用命をお待ちしています。

SR-ICBM®のシリンダーはShop SR Timesでもお買い上げいただけますので、ぜひご検討いただければと思います。

 
iBの得意技術ICBM®が登録商標になりました!
[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。

ib04-logo

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協力:(株)井上ボーリング

 


著者プロフィール
inouesotaro
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!

 
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