ヤマハSR400/500のカスタムパーツや
最新カスタム情報を毎日配信
SR専門カスタムWEBマガジン

2016年09月21日

ESSAY/井上ボーリング 井上壯太郎/「変化を大きく感じ取れる単気筒エンジン」


さまざまなエンジンの中でもSRに搭載される単気筒エンジンは弄りやすく、
また手を入れた結果を如実に感じ取ることができるエンジンですね。

s160921-1

いつもビンテージモトクロスミーティングが行われる川越モトクロスビレッジにみんなで行ってきました。目的はもちろんSR-ICBM® for VMXのテストをするためです。前回The SR Timesさんとご一緒してここへ来た時から後、クランクシャフトが変更になっています。前回は400ccクランクの外径を均一に削り取った通常の軽量加工クランクでした。これも狙い通り単気筒の鼓動感を失わないまま、いやむしろ鼓動を感じ取りやすくなり、しかも吹け上がりが軽くなるという絶妙な結果を得ることができたんです。

s160921-2

でもVMXで走るんならもう少しいろいろ実験してみたいなあ、ということになりました。

そこで、今回作ったのが写真の斧型超軽量クランクです。思い切った軽量化を図る一方で、SRらしいトルク感や鼓動がなくなってしまったのでは意味がない。そこで、バランス率を考えて極力カウンターウェイト側は削ることなく、クランクピン側をできるかぎりそぎ落とすという方針で、何度もスタティックバランスをとりながら、ご覧のような形になるまで削りこみました。ウェブ先端を尖らせたのは回転抵抗を減らすという目的です。一方、クランクをここまで弄りながら、iB得意のピン位置変更はあえてやらずに400ccのままというのも狙いがあってのことです。SRのクランクを弄るとなると、すぐに500cc化に考えが及ぶのは当然ですし、iBではお客様のご依頼でいつもやっていることですが、400ccクランクには独特のスムーズな良さがあるので今回はこれを変更せずにやろうということなんです。

s160921-3
s160921-4

さて、そうして組み上がったSR-ICBM® for VMX MkIIをモトクロスビレッジに持ち込んで走ってみると、これが愉しい、愉しい!

以前より中回転から高回転への吹け上がりがよくなった分、パワーバンドが広がったような感覚です! やはりエンジンが軽快に回ってくれると、バイク全体が軽くなったように感じられてオフロードで乗っても愉しさが全然違います。これはいいや! 僕以外のみんなの感想も「グッと走りやすくなった」ということで好印象。やはりある程度のパワーがあってこそ、バイクのコントロールも可能になるというものです。

s160921-5

以前のエッセイで「バイクの速さになんて意味がない」なんていうお話をしました。僕たちがやっているこんなエンジン弄りもけっして速さを求めているわけではないんです。タイムを速くということなら、やっぱり500ccとかもっと大きな排気量にクランクもシリンダーも拡大してしまった方が簡単だしいいのかもしれません。でも、SRのようなバイクを速くしてなにか意味があるでしょうか。それにiBはチューニングショップではなくあくまで「内燃機屋」です。

僕らは扱いやすい愉しいエンジンを作ってみたかっただけなんです。iBにはそのために必要な工作機械もエンジニアもいるし、なにより「バイクで愉しみたい」という遊び心を持った技師たちがいっぱいいます。その気持ちを閉じ込めておくなんてもったいないですもんね。だからみんなで愉しもう!というのがほんとうに全てです。まさにiBのコンセプト「エンジンで世界を笑顔に!」ということなんです。今回も水曜午後の研究時間に4人で走りに行ってきたんですけど、ほんとうに愉しかったですよ!

ib04-6

*このクランクシャフトにご興味のある方は、このあとShop SR Timesさんでお取り扱いいただく予定にしていますので、お楽しみに!

iBの得意技術「ICBM®」が登録商標になりました!
[I]noue boring [C]ylinder [B]ore finishing [M]ethodの略です。

s160921-logo

– – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – – –
協力:(株)井上ボーリング

 


著者プロフィール
inouesotaro
(株)井上ボーリング
井上 壯太郎(いのうえ そうたろう)
創業63年、(株)井上ボーリング代表。エンジンのついた乗り物が大好き。仕事もエンジン、遊びもエンジン。トライアル・モトクロス・ロードレース。バイク以外ではボートを使って水上スキーやウェイクボード。現代世界はエンジンでできているのです!

関連記事